ことばの冒険者たち

筆者:千葉聡
1968年生まれ。教員歌人。近刊に『海、悲歌、夏の雫など』。

第21回 八十になれば

八十になれば忘れているのかな木漏れ日のなか見ていた眉も

陣崎草子
『春戦争』

新鋭歌人・陣崎草子は、絵本作家、小説家としても活躍中。大切な人の眉を見つめていたことは、大人になれば思い出になる。もっと年をとれば、その思い出は、なくなってしまうのか。未来を怖々とのぞく子どものような物言いだ。陣崎の描く人物たちは、きっといくつになっても、いつまでも、こんな物言いをするのだろう。この身になじんだ、自分の核である、子ども心を脱ぎ捨てたくなくて。

千葉 聡