第66回 旅する一生を

白雲と旅する一生を夢見しか岬の果てに空高かりき

内藤 明『虚空の橋』

日々の営みは偉大で、生活には充実感が伴うが、やはり旅に出たくなる。(若手芸人だった猿岩石が「白い雲のように」を歌っていたのは、どれくらい前のことだっただろう)。岬の果てで見る空に、小さな自分が呑み込まれてしまいそうだ。内藤明は、私生活を巧みに短歌連作にする。『虚空の橋』をめくると、私小説を味わうときのような、しみじみとした思いにとらわれる。

千葉 聡