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一首評

定食屋世界の果てに漫画誌の油染みたる表紙をめくる

斉藤真伸 2013.08.28

一首評

定食屋。完璧な言葉だ。そこにいけば、満腹感と栄養バランスを十全に満たしてくれるという期待感がこの言葉には満ちている。おばちゃんと気の置けない話をしつつめくる漫画誌。時にベリベリと音を立てる油煙にまみれた漫画誌。それは、フレンチ・レストランのテーブルに灯された蝋燭、もといキャンドルのごとく、定食屋の定食屋による定食屋のための演出なのだ。ではなぜ「世界の果て」なのか。誤解を恐れずに言えば、女性には全く理解されない場所だからである。男にとって、唱えるだけでうっとりするような場所であるにも関わらず、デート(死語)で行こうものならひっぱたかれない悲しさがそこにある。思えば、斉藤の歌にはガンダム・模型・フーリガンなど、男性独特の熱狂に満ちている。「草食系」という枕詞が幅を効かせる現代において、その純度に激しく共感してしまうのである。

堀合昇平

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