五島諭 2014.01.22
蝶や黄金虫の羽が好きだろう肥沃さがあなたのいいとこだろう 2014.01.19
買ったけど渡せなかった安産のお守りどこにしまおうかなあ 2014.01.16
不意に懐かしくなるほど胃の重くなるほど歌の話煮つめて 2014.01.13
ちりとりが垣根の上に置いてあるだけの些細な些細な遺跡 2014.01.10
晴れたらばなにしようかな晴れたらばなにもかも太陽のほしいまま 2014.01.07
大吉を引けばいいけど引かないと寂しさが尾を曳く、でも引くよ 2014.01.04
いつも陽気に振る舞えばとても内気ではあっても陽気なんだね 2014.01.01
夢のやわらかい部分を潜りぬけ荒れた部分にひろう富籤 2013.12.29
釣り道具を使ってつくるストラップ ピンクのルアー揺れてすげない 2013.12.26
デニーズでよい小説を読んだあと一人薄暮の橋渡りきる 2013.12.23
物干し竿長い長いと振りながら笑う すべてはいっときの恋 2013.12.20
ミュージックビデオに広い草原が出てきてそこに行きたくなった 2013.12.17
午後5時に5キロの米を買いに出てどこかにきみはいないだろうか 2013.12.14
「失態を演じる人」の「演じる」のあたりで五月雨が川をなす 2013.12.11
プリズムが陽光を虹色にする春の終わりにバイトが変わる 2013.12.10
シャワーでお湯を飲みつつ思うぼくの歌が女性の声で読まれるところ 2013.12.10
空までの距離に引きつる 縄梯子摑もうとして伸ばした手から 2013.12.10
久々に銀だこのたこ焼きを買う雨の大井で大穴が出る 2013.12.10
寄せてくる春の気配に文鳥の真っ白い風切羽間引く 2013.12.10
ごとう さとし
1981年生
2000年早稲田短歌会入会
現在同人誌「pool」、ガルマン歌会所属
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