法橋ひらく 2015.06.01
ほらここは風の逃げ道 地下書庫へ降りるときよくすれ違うひと 2015.05.27
追いかけっこの少年たちに囲まれて自分の脚を長いとおもう 2015.05.22
傷つけられたわけじゃないだろ 沖へゆく心のために灯台を持て 2015.05.19
直喩なら殺されました(越冬のオオハクチョウの羽ばたきを見た) 2015.05.14
風に舞うレジ袋たちこの先を僕は上手に生きられますか 2015.05.11
こころにも掌がある(それをほどく)冬晴れの多摩川をゆく 2015.05.01
晴れ上がる空を切り取る中庭に父なるものの欠けたこの街 2015.04.27
眠ろうか 触れると閉じる葉のように今日は誰とも会わずにいたい 2015.04.22
プッシュする光のほうへプッシュする突き飛ばされるように市バスへ 2015.04.17
羽布団かぶればここにあるものは濁音 海に落ちる氷塊 2015.04.14
「痩せたな」と心配されて旧友がほんまに旧い友であること 2015.04.09
探り合う目と目のなかに磨かれて欠けてゆくオパール ごめん 2015.04.06
白昼の月はいよいよ消えかかり泣くほど好きな人がいますか 2015.04.01
よく晴れてなんにもない日むりにでも出かけなければもう角砂糖 2015.03.27
寄りかかるものが欲しくて壁際をキープしている最終電車 2015.03.24
鳴けよ海(なけないぼくらのみるひかり)廊下に立てたあのキャンバスへ 2015.03.19
東海道にコンビナートの呼気赤くしずかに空ける窓の2センチ 2015.03.16
「今日よりも明日は晴れる」窓枠のラクガキうすく下書きの跡あり 2015.03.11
風帰る 登校のため使いきる青春18切符のあまり 2015.03.05
ほうはし・ひらく
・1982年大阪府吹田市生まれ
・同志社大学文学部卒業
・2008年より歌人集団「かばん」に参加
・図書館スタッフとして長らく勤務
・趣味は西洋占星術etc
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