木下侑介 2022.01.05
父さんのアドレス聞いて父さんが桜が好きって初めて知った 2021.12.29
海だってあなたが言えばそうだろう涙と言えばそうなんだろう 2021.12.24
君の手のひらをほっぺに押し当てる 昔の日曜みたいな匂い 2021.12.21
花にルビをふるように降る雨、雨の名前は誰にも分からないけど 2021.12.16
生まれたら、もう僕だった。水切りに向かない石の重さを思う 2021.12.13
雨に会うその為にだけに作られた傘を広げて君を待ってる 2021.12.08
花言葉だけが揺れてる花屋みたい あなたがいない日々の日記は 2021.12.03
たやすくウーウーうなる人になれるウーウーうなるただそれだけで 2021.11.30
ここにあるのは胸骨で、触れたのは指先 君も僕も流木 2021.11.25
僕が知る一番小さな草原のようだよ君の濡れた瞼は 2021.11.19
「チケット?」「うん、プラネタリウムの」「また合わせ鏡の中で泣いたの?」なんて 2021.11.16
天井の木目が僕の顔を見て知ってる木目に似てると言った 2021.11.11
冷蔵庫を開ければ光が欲しかった夜が静かに息継ぎをする 2021.11.08
もし俺が宇宙人でも取り敢えずいい人止まりで終わるだろうな 2021.11.02
爆心地また爆心地 放課後は君の足跡ばかり見ていた 2021.10.28
いっせいに飛び立った鳥 あの夏の君が走っていったんだろう 2021.10.25
目を閉じる度に光が死ぬことや目を開ける度闇が死ぬこと 2021.10.20
目覚めたら君が住んでる街にいる夜行バスって瞬きみたい 2021.10.15
目を閉じた人から順に夏になる光の中で君に出会った 2021.10.12
きのした・ゆうすけ
1985 年、横浜生まれ。穂村弘氏の「短歌という爆弾」を読んでから作歌を始め、「短歌ください」(穂村弘氏選)、「東京歌壇」「短歌の時間」(東直子氏選)にて入選を重ねる。枡野浩一氏の「かんたん短歌blog」にて、エッセイ「アイハブノークエスチョン」採用。「いつまでもその初々しさを失わず、愚直に丹念に書き続けられたら、あなたは「本物」になれると思う」(枡野浩一氏)と評された。長距離走とブルーハーツ、ハイロウズ、クロマニヨンズの音楽を愛している。趣味は懸垂。好きな作家は坂口安吾とシモーヌ・ヴェイユ。
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