新鋭短歌

新鋭短歌シリーズスタート

小野田光

二三川練

五十子尚夏

岐路のない日常があり一度だけ渡った橋のかたい静けさ 2019.03.01

小野田光

手のひらのしわが今夜は深い気がする小さめの花火が上がる 2019.02.28

二三川練

平成がこのまま閉じてゆくことを告げてさびしい住之江競艇 2019.02.27

五十子尚夏

そういうのずっと濾過してきたんだねピエロが鼻を泉にひたす 2019.02.26

小野田光

メロンパンの袋をあけるいつもとは違うあけ方でとても綺麗に 2019.02.25

二三川練

愛されていたと思えば君もまた反実仮想の王国へゆく 2019.02.22

五十子尚夏

国境を解かれた陸の果てに舞う百年のちの手旗信号 2019.02.21

小野田光

人権の数だけチョコレートをあげる 君と君と君には空港をあげる 2019.02.20

二三川練

新月を抱く夜空にI must apologizeと切り出している 2019.02.19

五十子尚夏

喉奥は生ぬるい沼 この夏の解をもたない人と歩めば 2019.02.18

小野田光

やがて折れる塔のごとくに積まれゆく日々にかすかな鶺鴒の声 2019.02.15

二三川練

まひるまの月って感じの表情をふいに見せたるイザベル・ユペール 2019.02.14

五十子尚夏

間違えた靴のままゆく舗装路が海になっても終わらない夢 2019.02.13

小野田光

知っていた未来ばかりが訪れてたとえば黄身がふたつの卵 2019.02.12

二三川練

“雨だれの 前奏曲 プレリュード 弾く君の手の甲に薄くぬるロクシタン” 2019.02.11

五十子尚夏

粉雪をふくみ唇かがやかす君の余罪を数えてやまず 2019.02.08

小野田光

人の住む島に墓標は咲きわたり遠のく風は波としたしむ 2019.02.07

二三川練

君がもう夏の終わりを告げたのでわたしの手にはディケンズがある 2019.02.06

五十子尚夏

ローム層にしずかな記憶抱く街で八万台の複写機光る 2019.02.05

小野田光

雪の日をクレヨンで描く 戦争のない日みたいに真っ白な紙 2019.02.04

二三川練

ラインナップ