陣崎草子 2013.11.29
国道の自販機に花は降りかかりあのひとのごと黙しておりぬ 2013.11.26
冬、くっきりとした光降る階段をのぼる白磁の皿を抱えて 2013.11.23
春の指、長くて節のめだつ君の春の指をそっと曲げてごらん 2013.11.20
低き姿勢崩さず追ってつかんだら銀河はパリンと涼しく砕け 2013.11.17
電子レンジは腹に銀河を棲まわせて静かな夜に息をころせり 2013.11.14
何故生きる なんてたずねて欲しそうな戦力外の詩的なおまえ 2013.11.11
夢を見るちから失わないために吠え声のごと光らす陰毛 2013.11.08
体内にしたたる
このひとに触れずに死んでよいものか思案をしつつ撒いている水 2013.11.02
「かぞえて」と街をゆきつつ夏の腕差しだせばふるえはじめる
どうせ死ぬ こんなオシャレな雑貨やらインテリアやら永遠めいて 2013.10.22
つよい願いつよい願いを持っており群にまぎれて喉を光らす 2013.10.19
好きでしょ、蛇口。だって飛びでているとこが三つもあるし、光っているわ 2013.10.16
春の日はきみと白い靴下を干す つま先に海が透けてる 2013.10.15
生きることぜんぜん面倒くさくない 笑える絵の具のぶちまけ方を 2013.10.15
スニーカーの親指のとこやぶれてて親指さわればおもしろい夏 2013.10.15
皇帝とよばれる樹ありひざまずくシャツの背に浮く汗もささげて 2013.10.15
ほどけゆくけむりをわけてあらわれる青魚わが喉を見ており 2013.10.15
じんさき・そうこ
1977年大阪生まれ、東京在住。
大阪教育大学芸術専攻美術科卒業。立体造形会社やデザイン会社に勤務後、23歳でイラストレーターとして独立。26歳で絵本作家をめざして上京。2007年、童画家武井武雄について調べていて穂村弘の短歌と出会い、衝撃を受けて作歌をはじめる。2008年よりダ・ヴィンチ誌の穂村弘連載「短歌ください」の絵を担当。同年、歌人集団「かばんの会」入会。2009年、小説『草の上で愛を』で第50回講談社児童文学新人賞佳作を受賞。2013年、絵本『おむかえワニさん』(文溪堂)出版。
絵、絵本、小説、短歌を手がけ、作品を発表しつづけている。
ウェブサイト http://www.jinsakisoko.com/
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