寺井奈緒美 2019.07.13
どんな波きても無言で耐え忍ぶテトラポッドの唄が聴こえる 2019.07.10
路上にはネギが一本落ちていて冬の尊さとして立て掛ける 2019.07.07
太陽とデートしている呆然と立ち尽くしてるように見えるが 2019.07.04
改札を通るときだけ鳴く鳥をだれもが一羽手懐けている 2019.07.01
ドーナツの穴の中の心境になれる気がする神社の中は 2019.06.28
柴犬の尻尾くるんの真ん中の穴から見える極楽浄土 2019.06.25
心中のように特売スウェットの上と下とが糸で吊られて 2019.06.22
ハムスターの棺桶だったティッシュ箱今頃溶けている春の土手 2019.06.19
冷えきったステンレスには惑星のような里芋転がっている 2019.06.16
いつの日か時代が変わり活躍をできる日本を待つ脇毛たち 2019.06.13
なくなれば美しくなる でもぼくは電線越しの空が好きです 2019.06.10
年老いてとうとうドアストッパーになりし犬いる中華料理屋 2019.06.07
ばきばきの三角コーンがこの街の無風地点を教えてくれる 2019.06.04
唐揚げになって揚がっていくようで雨音のなか旨み増すぼく 2019.06.01
おしっこよ いつか海へと流れつきぼくの膀胱に戻っておいで 2019.05.29
生活のぬめり取り去る液体のようにロードムービー流す 2019.05.26
算数のノートの隅で育ててた棒人間よ まだ走れるか 2019.05.23
あと一度着たならきっと雑巾にしようと思い今日も着ている 2019.05.20
花びらをビニール傘に貼り付けてそこに居た時間がうつくしい 2019.05.17
てらい・なおみ
ホノルル生まれ、愛知育ち、東京在住。
趣味は粘土で縁起のよい人形をつくること。
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