嶋田さくらこ 2014.01.24
会いたい、と言えば会えなくなるんだろう いっぽん道をひとりで帰る 2014.01.21
もう誰のものかもわからないペンを使うみたいに抱き寄せられる 2014.01.18
遠景の夕陽みたいな優しさでメールをくれる ずるい人です 2014.01.15
まだ夏は始まってないサンダルを片方置いて逃げたっていい 2014.01.12
遠くから見える花火は観覧車みたいやねって笑いかけたい 2014.01.09
おにぎりに指の跡残るくらいの力加減で抱いてください 2014.01.06
改札で待ってる君に近づいていくのが好き、と遅刻の理由 2014.01.03
点点点点点点点会いたさで誰かになろうとする点描画 2013.12.31
おおきにと言う癖ついてコンビニの店員さんにおおきにと言う 2013.12.28
ぴあのぴあのいつもうれしい音がするようにわたしを鳴らしてほしい 2013.12.25
先生がやさしいだけの教室でト音記号もうまく書けない 2013.12.22
冒険が終わった先を記さない本の作者のような恋人 2013.12.19
世界には言いたいことがなくなって雪になれない雨あたたかい 2013.12.16
ギアチェンジする前に言ってもう好きじゃないとか終わりにしようとか、とか 2013.12.13
電気屋で手を繋いでいる「ご新居はどちらですか?」と聞かれる遊び 2013.12.10
たんぽぽが綿毛を飛ばすつもりなどなかったようなさよならでした 2013.12.10
夕映えのメロンきらきら滴ってあなたの舌は居心地がいい 2013.12.10
日曜のまひるあなたを思うとき洗濯ものもたためなくなる 2013.12.10
手のひらが大きいねって言ったこと去年の冬のことにしないで 2013.12.10
しまだ さくらこ
1975年滋賀県生まれ。95年京都府立大学女子短期大学部国語科卒業。ファッションアドバイザーとしてアパレル会社勤務後、家業の洋品店を継ぐ。2005年に洋品店を廃業し、新聞販売店へ転業。10年1月に作歌を始める。11年9月から「短歌なzine うたつかい」を企画し、編集長として9名の編集部員とともに発行している。
短歌なzine うたつかい
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