蒼井 杏 2016.09.01
銀のゆめ見ていたのだとおもいますRは確か屋上でしたね 2016.08.29
はしさきをそろえてあらうもういないひとのしあわせうらなうように 2016.08.23
ゆびのはらにきんぷんのつく賞状をほんものとして すうぱあむうん 2016.08.18
本文に長い下線を引くときの波打際でぬれてゆく文字 2016.08.12
到着後わたしの電車が回送になって車庫へとはいってゆきます 2016.08.08
ひざのほねのうえのてのひらお天気の西からくだけてゆく音を聞く 2016.07.29
肩ひもをなおせばBCGのあと等間隔にひかるのでした 2016.07.26
そうですねそうでしたよね帽子より下の空にも雲をうかべて 2016.07.21
あ、この曲、なんだったっけな、パーカーの短いほうのひもをひきつつ 2016.07.15
ものさしを落としてしまってフロアーにさかさの数字がはねたのでした 2016.07.12
まんなかの頁にてのひらおしあてて糸綴じノートをひらいてゆくの 2016.07.07
寒気団のぶつかるところでお砂糖はおいくつですかとたずねています 2016.07.04
靴下の熱をいちまいずつはいで くるぶしは遠い約束でした 2016.06.29
わたくしはやさしくなりたいカルトンの銀貨をいちまいいちまいひろう 2016.06.24
ぱらついてコンビニ袋にいくつもの水玉つけて待ちぼうけなさい 2016.06.21
たぷん、と音が胃でしてわたくしは陸橋のぼる魚になった 2016.06.16
七色のボールペンには七本のばねがあるのでしょうね、雨 2016.06.13
ひとりでに落ちてくる水 れん びん れん びん たぶんひとりでほろんでゆくの 2016.06.03
あおい・あん / 2015年、未来短歌会に入会。加藤治郎に師事。
とてもひとみしりな雨女。
第6回中城ふみ子賞、第57回短歌研究新人賞次席。
ラインナップ