千原こはぎ 2018.06.25
外は雪 きみを素足で待つことを少し叱ってくれたっていい 2018.06.20
おしまいはいつも「じゃあね」と言うきみに「またね」と返す祈りのように 2018.06.15
よそ行きの、風邪の、いつもの、耳元の、すべての声をほしいと思う 2018.06.12
あいたいとせつないを足して2で割ればつまりあなたはたいせつだった 2018.06.05
降りやまぬ雨 もうことばにならなくて読点ばかりきみへとこぼす 2018.05.31
距離を置く作戦実行中ですが月がきれいで話がしたい 2018.05.28
すきすぎてきらいになるとかありますかそれはやっぱりすきなのですか 2018.05.23
今わたし無敵なんですこのあいだもらった星のピアスをつけて 2018.05.18
真っ白なショートケーキのどのへんを崩せば好きになってくれますか 2018.05.15
「よく笑うひとなんですね」笑わせてくれるひとから言われてしまう 2018.05.10
もうきみのものではないということを始める知らない名前の駅で 2018.05.07
くすぶった火種を抱え目を閉じる 夢であなたがただ水を撒く 2018.04.27
かなしさの逃げ道としてびりびりとストッキングを裂きながら履く 2018.04.24
すべてから置き去りにされているような心地してたぶんありふれている 2018.04.19
ともだちであると確認した夜にうっかりキスを一度だけした 2018.04.16
存在をときどき確かめたくなって深夜ひとりで立つ自動ドア 2018.04.11
玄関のドアをひらけば吹いてくる風のことです春というのは 2018.04.06
ちはら・こはぎ / 大阪生まれ。イラストレーター・デザイナー。
中学生の頃、祖母の影響で短歌と出会う。
2010年7月からTwitter上での作歌を開始。
「短歌なzineうたつかい」編集部、「鳥歌会」主催、合同短歌集などの企画・制作や、短歌朗読など、さまざまな短歌関連の活動を行っている。
2015年9月、イラストと写真付きの文庫サイズの短歌本『これはただの』発行。
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