君とはさっき新宿・アルタ前で待ち合わせした。君は僕といても、手元のスマホばっかりいじっているような子だ。僕の話に時折「うん?」と分かっているような分かっていないような相槌を打つ、いつだってそんな調子の君に僕は途方に暮れて街の光景を見やる。
――ポップ、露悪的、感覚主義・・・望月裕二郎による『あそこ』の世界観を表現するとこんなキーワードだろうか。コミュニケーションに磨り減り、ちょっと麻痺した感覚でとらえた“現代”が展開されていると思う。
引いた一首の世界観に戻ろう。
いつだか一緒に行った喫茶店で君は「レモン・ティーが飲みたい」なんて言い出した。出された陶器のポットをことのほか優雅な手つきで持ち上げ、それはそれは美しいレモン・ティーが目の前で注がれるのを僕は、見た。
天道なお