岡野大嗣 2015.02.10
地獄ではフードコートの呼び出しのブザーがずっと鳴ってるらしい 2015.02.05
人のなりした環境依存文字たちをダイヤ通りに運ぶ地下鉄 2015.02.02
ラッセンの絵の質感の夕焼けにイオンモールが同化してゆく 2015.01.28
白というよりもホワイト的な身のイカの握りが廻っています 2015.01.23
骨なしのチキンに骨が残っててそれを混入事象と呼ぶ日 2015.01.20
生年と没年結ぶハイフンは短い誰のものも等しく 2015.01.15
母と目が初めて合ったそのときの心でみんな死ねますように 2015.01.09
生きるべき命がそこにあることを示して浮かぶ夜光腕章 2015.01.06
#あと二時間後には世界消えるし走馬灯晒そうぜ 2015.01.01
じいさんがゆっくり逃げるばあさんをゆっくりとゆっくりと追いかける 2014.12.29
マーガレットとマーガレットに似た白い花をあるだけ全部ください 2014.12.24
ひとりだけ光って見えるワイシャツの父を吐き出す夏の改札 2014.12.18
ぎりぎりの夕陽がとどく二段階右折待ちする僕の胸まで 2014.12.15
かなしみを遠くはなれて見つめたら意外といける光景だった 2014.12.12
つよすぎる西日を浴びてポケットというポケットに鍵を探す手 2014.12.11
そうだとは知らずに乗った地下鉄が外へ出てゆく瞬間がすき 2014.12.11
河川敷が朝にまみれてその朝が電車の中の僕にまで来る 2014.12.11
ともだちはみんな雑巾ぼくだけが父の肌着で窓を拭いてる 2014.12.11
もういやだ死にたい そしてほとぼりが冷めたあたりで生き返りたい 2014.12.11
おかの・だいじ
1980年大阪生まれ。2011 年に短歌を始める。まもなく木下龍也の作品に出会い、刺激を受けて作歌を続ける。2012 年、結成当日解散型不定形ユニット「何らかの歌詠みたち」を始動、短歌朗読をしたり作品集をつくる。2013年、田中ましろの企画・制作による「短歌男子」に参加。2014年、連作『選択と削除』で第57回短歌研究新人賞次席。
ブログ:第2ファスナー( http://2ndfastener.blogspot.jp/ )
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