杉谷麻衣 2016.10.21
なにひとつ争わずして閉じてゆく冬は間違いだらけの日記 2016.10.18
どちらかが先いなくなる確かさをジンジン鳴らすようなゆうやけ 2016.10.13
傘をさす手を奪われて夕立のほのかにぬるい世界を泳ぐ 2016.10.07
この道を一夜で薄く、遠く、しろく染めるのが雪でなくて砂なら 2016.10.04
〈ありがとう〉と〈ごめんなさい〉の水源はおなじ どの坂から金木犀 2016.09.29
許すことにとまどってした口づけの高さに風のなかのひまわり 2016.09.26
つんと蹴ればラムネの瓶はとじ込めし光をあおくして撒き散らす 2016.09.20
少しずつ色を失 う街角の胸に息づく信号の赤 2016.09.14
欲望と祈りを区別できなくてどうしても曇天のパレット 2016.09.09
空の絵を描けといわれて窓という窓を砕いて額縁にする 2016.09.06
すぎたに・まい / 1980年11月1日生まれ。
京都府京都市出身。
大阪府大阪市在住。
泳ぐとき、人は美しいほど一人きりだ。
深く潜りゆくシャープな歌と、誰かを求めて浮上する歌に
こころと呼吸が奪われてゆく。
光森裕樹
四六判／並製／144ページ 定価：本体1700円＋税
ISBN978-4-86385-236-5
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