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九州大学短歌会のブログで『タンジブル』が紹介されました

2013.05.30

九州大学短歌会のブログ・短歌エッセイで、鯨井可菜子歌集『タンジブル』が紹介されました。ぜひ一度、ご覧ください。

http://kyudatanka.blog.fc2.com/blog-entry-30.html


(以下、一部抜粋)
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あらゆるものが、その意図しないところで、役割や意味を背負う運命にある。それは言葉の持つ力でもあろう。しかし一方で、それは氷山の一角のような見え方をもたらす。だからこうやって、その力を慎重にときほぐすことは、実感や実態を掴もうとするあまり失ってしまった、原形を取り戻す作業でもあるのだ。

・スーパーの寿司のまぐろはひとつずつ白くきれいなものに張り付く
・デジカメを出してほほえむ人がいて二本の指が応えておりぬ
・窓になる前のひと日よ 麗らかに街を運ばれゆくガラス板
・ウェイターの盆傾きて光あふれ きょう世界中で割れる皿よ
・屈すればデスクの下のくらやみにくつずれありてバンドエイド貼る


(中略)


向かい風に立ち向かうような強さではない。燦燦とふる陽に光る汗のような明るさではない。紫陽花の横をスキップした時の、わずかに落ちる、水滴の透明さとでも言えようか。

・母にありてわたくしに無きたくさんのたとえばレジを打つ昼下がり
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